個別指導を受けた体験談

ホームページに戻る


(開業20年目にして個別指導を受けられた岩手県のY先生から開業の先生方の御参考にと体験談を寄せられました)

個別指導を受けた体験談
岩手県 Y。Y  
 個別指導当日
当科は内科胃腸科無床診療所で外来一日70人. 96床の老健施設を併設している 開業20年目である。
個別指導を行う旨の通知は3週間前に届き(添付1)、7月25日午後3時30分に 岩手県医師会館で行われた。 対象は平成12年3・4月の外来患者だった。

当日指導開始30分前に保険課(今は社会保険事務局という)は対象となるレセプト 14件のリストを前もって渡し、その患者のカルテを準備して部屋に入るようにと 言った。
保険課からは医療指導官、事務指導官、事務職員の3人が対応し、当方は私と 受付嬢二人と事務長(52才男)の4人が出席した。 また県と市の医師会 理事3人が同席した。  

 準備と対策
私は平成11年11月からProDocを導入し、従来から使っていた カルテにID番号をつけてそれも日々の診療に使っていた。だから導入以前の診療内容は紙のカルテに保存されおり、導入以降は全てパソコンに入っていた。 当然対象の 平成12年3・4月分のカルテはパソコンの中にあるが打ち出してないので紙のカルテはなかった。 紙カルテが無くても指導に支障がないかどうかを県保健課に問い合わせた所、
「診療録の電子媒体による保存は認められているので、その要件が揃っていればよい。 ただし個別指導に当たっては過去の診療内容についても見せて貰うので速やかにそれを 明示出来るようにして欲しい。」 と言われた。 
私はこう解釈した「指導官が 患者Aのカルテを点検する場合、すぐに提示して欲しいのは、頭書き、症状や指導内容の記載、検査や画像診断の記載、注射投薬の処方内容、一部負担金徴収等の会計カードなどで、これが速やかに出なければならない。 パソコンがもたもたしてると1時間半の指導時間が無くなるので、出来れば用紙にプリントして来るのが良いだろう」と。 
そこで 前もってチェックされそうな約100人のカルテを打ち出した。またパソコン1台を 持参した。 
個別指導対策として以下を行った。
1)3・4月分のレセプトを合算して一枚に打ち出し、問題になりそうな頻回受診、在宅総合・末期医療患者など90人を重点チェックし質問に直ちに答えられるようにした
2)ProDoc導入後の新患の頭書きを出力し、会計カードや他の伝票類と一緒のファイルに入れた
3)上記90人のProDocカルテを出力しファイルに入れた
4)紙カルテやProDocカルテの誤字や記載間違いなどの不備を正しく訂正した。
5)「診療録及び診療諸記録の電子保存に関する運用管理規定」を作った(資料提供   ノーバメディコ 井原先生 添付2 )
6)院外処方薬局の薬剤師から見て問題となりそうな患者のリストを貰い   その患者の状態を再確認した
7)カルテや検査データーを紛失した患者の把握をした(即無いと言えるように)
8)過去1年の減点された内容をチェックし改善したかしてないかを把握した
9)職員が患者になった診療録をチェックした。
10)併設老健施設入所者の外来診療について把握した  

  対策がうまく役立ったか  
ProDocを使ったので 1)2)3)4)はものすごく早くでき感激した。しかし 私が個別指導で取り上げられると予想した患者90人中当たったのは2名だけだった。 はずれた原因は、個別指導に選別された理由が最後まで分からなかった事にある。自分の平均点は決して高くないと思っていた。 選定理由を聞いても保険課は 勿論教えてくれない。医師会理事に聞いても分からない。 風の便りでは老健施設をやってる医療機関が会計検査院の指摘で全国的に選択されているとも聞いた。患者からの投書や同業者からの通報もあるという。次第に不安になってきた。確かに自分は口は上手いし作り笑顔も患者の元気付けにとよくやるが、嘘やだましはしていない。女房と喧嘩しても患者とはしない。随分気を遣ってる。しかし昨年暮れ永年勤めた受付の中年事務員をProDoc導入時に退職させたので内部告発があったか。でも彼女らには高給を払っていたし人柄から見てそんなことはないはずだ。多少の見逃し誤診はあったが大事になっていない。自分は大腸ポリープの大きいのは取らないが、あまり小さいのもまめに取っていない。在宅総合はしてるが、無理して在宅にして押しかけてもいない。  市医師会理事を辞めて保険医協会理事になったがそれも昔だし。その他色々考えたが結局は解らず、老健施設をやってる医療機関の定期検査的個別指導だと考えることにした。そしてProDocで準備したのだから10例は当たるだろうと思うとやや気が楽になった。結果ははずれたけど・・・・。      

  選定理由と個別指導で指摘されたこと  
指導対象レセプト14例の内訳は社保本人3,社保家族4,国保3,老人4で  老人保健施設入所者はなく 高点数レセもない。 一番の高点数は2ヶ月合計で  3700点の肝癌・肝硬変68才主婦だった。 14件の2ヶ月合計の平均点数は  2300点と低かった。   

個別指導の選定基準は厚生省が決めたもので(添付2)、私の場合は支払基金と  国保連からの意見によるものだった。すなわち院外処方で風邪薬や胃炎の薬、眩暈の薬 貧血の薬が出ているのにレセプトに病名がないのが多いとの指摘で個別指導を受ける事にななった。そして他のレセプトもチェックしたので次のような指導を受けた。       
     
肝硬変にショーサイコトウはだめ。         
胃潰瘍治療は長年続けないこと。       
慢性胃炎にタガメットは通常は2錠で。       
投薬ばかりで検査が少ないものが有る。      
脳梗塞の治療にペルジピンはだめ。      
頭部CTや画像診断の所見はきちんと記載すること。      
カルテは公文書と思い記述をもう少し丁寧に。      

また事務職員が聞かれた事は、      

保険証の確認はどのようにやってるか      
一部負担金は確かに徴収してるか、未収は記載してるか      
職員からも一部負担金は確かに徴収してるか      
増減通知を良く検討して次回の請求に反映させているか      
領収書発行してるか      
記載の訂正は規則通りにすること      
電子カルテは後で書き換えが分かるような工夫をすること
検査や掃除など外注しているものは何か、その管理をする事      
カルテは5年、他の資料は3年きちんと保管する事    

 おわりに
個別指導が終わってほっとしている。 余計な心配をしたように思う それにしてもProDocのお陰で準備は本当に短時間に出来た。 紙カルテでは3週間で出来なかったと思う。 当日指導を受けた先生で持参したカルテとその他の資料が ワゴン車二台で運んできたのを見て驚いた。 はやっている先生もいるのダ。  
 
ProDocを使って受けた今回の指導で私が感じたことは、指導官から提示するように言われた患者の症状や指導内容の記述、検査や画像診断の記述、注射投薬の処方内容、一部負担金徴収等の会計カードなどが、紙カルテのようにサット出せなかったことだ。 どうしてもパソコンの画面に出るまで待ち時間がかかった。 また指導する保険課側も画面での審査より紙カルテになれてるので、その食い違いも感じた。 次回はプリンターを持参して対象になるレセプトを知らされたら、すぐにその場で印刷して、それで指導を受けるのが良いと感じた。
いずれにしても、いわゆる電子カルテの普及で個別指導の方法も大きく変わってゆくだろう。      
ご一読ありがとう御座いました。 ProDocの一層の進化と皆様のご検討をお祈りします。        

ホームページに戻る